AIの時代に、答えを出さないぬくもりを――

著者:川北 ゆり(傾聴メンバー)

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「そうじゃなくて…

答えが、ほしいわけじゃない。」

 今のあなたの苦しさが、

 声にならないまま、

 遠くへと消えてしまいそうで…

 AIには届かないかもしれない…

私の心の奥で、そう感じています。

 今この時代、私たちの隣にはAIがいます。

 問いかければ、驚くほど速く、正確な情報が返ってきます。

 悩み事も、問題も、淡々と整理して、的確な「答え」を示してくれる。

 それは確かに、心強いです。

でも、目の前に、

何かを手放してしまいそうな、誰かがいるとき…

その人の沈黙を前にして、

答えがあることなんて、

むしろ、なんて無力なんだろうと思ってしまうのです。

「もう、疲れた」

その一言の重みに、

私はどれだけ沈黙できるだろう…

言い返したくなる衝動を、どれだけ呑み込めるだろう…

「わかる」なんて気安く言えない…

「大丈夫」とすら、すぐには言えない…

それくらいに、

誰かの絶望に、本気で向き合うというのは、

こちらの心の奥も試される行為なのだと思います。

だから、傾聴って、

言葉のやりとりじゃないんですよね。

ただ一緒にいる…

目を見て、呼吸を合わせて、

沈黙の底で何かが少しずつ解けていくのを、待つ…

それが、もしかしたら、

人が人としてできる、最も深い祈りに近い行為かもしれません。

誰かに話を聴いてもらう。

その安心は、ほんのわずかでも、

あなたの心に

「まだここにいてもいいのかもしれない」

という力を取り戻す。

それが、心の回復力という名の ――

とても小さくて、でも確かな大切なものだと思います。

だから、今、答えが出なくてもいい。

声が震えていてもいい。

泣いてもいいし、黙っていてもいい。

そのままのあなたで、ここにいていいんです。

無理に希望を持たなくていい。

無理に前を向かなくていい。

それでも、そばにいてくれる誰かがいて、

ただ一緒に呼吸してくれるとしたら…

その時間は、どこにも居場所がないと思うときに、

まだ戻ってこられる場所があると感じさせてくれるかもしれない。

AIは答えをくれます。

でも、震える体にそっと毛布をかけるような仕草や、

言葉にできない想いがにじむ目の奥は、AIにはきっと真似できない

だから私は、

この便利な時代にあえて、

「答えを出さない時間」

に身を置こうと思うんです。

どうか、息が詰まるようなときも、

そのままのあなたでいてください。

私たちは、

“言葉を急がず、あなたを待つ”

その静かな在り方で、

あたたかさを届けていると、

今も、忘れずにいます。

ー 著 者 ー


もし、よろしければ…
今回の記事を読んで、心に生まれたものを、お手すきの際に教えていただけませんか?

一度ゆっくりと深呼吸をしてから…
ご自身のペースで、心に浮かんだ感じを、少しずつでもお聴かせいただけたら嬉しいです。

いただいたお声は、毎回、隅々まで目を通して、これからの発信や対話を、より深く豊かにしていくための大切な糧として活用させていただきます。

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