声にならない声が、胸の奥でそっと揺れるとき

── 沈黙と身体が教えてくれる、ほんとうの願い

きょうも『そっと こころの聴き旅』を開いてくださり、ありがとうございます。

朝の湯気、通勤電車の揺れ、夜の静けさ ──

私たちの一日は、ささやかな瞬間の連なりでできています。

そして、その小さな場面ごとに、言葉にしづらい感情が、胸の奥でそっと生まれては消えているのではないでしょうか?

お茶をすする一瞬に、ふと心に沈む小さなため息 ──

電車の窓に映る自分の顔に、疲れや迷いを見つけるときの重たさ ──

夜、画面を閉じたあとに訪れる静けさの中で、ぽつりと芽生える「これでよかったのだろうか」というつぶやき…

きっと、そうした感情は、強く叫ぶような声ではないだろうと思います。

けれど、確かにそこに存在していて、私たちのこころを揺らしています。


まずは、この「こころの聴き旅」でお届けしてきたお便りの一覧を、いつでもご覧いただける場所をご案内いたします。

日々の慌ただしさの中でふと立ち止まったときや…

静かなひとときに、こころの声をそっとたどり直す、やさしい灯火となれましたら幸いです。

「こころの聴き旅」のこれまでのお便り一覧

小さな声に寄り添う

私たちは、胸に湧き上がるそうした小さな疼きを

「気のせいだ」と無視したり…

「こんな弱さは乗り越えなければ…」と

ほとんど無意識に、その声を打ち消そうとしてしまうかもしれません。

けれど、そのか細い声こそが、分厚い日常の奥に閉じ込められた、ほんとうの心の叫びだとしたら ──

それは、決して「ダメな自分」の証明などではないと思います。

むしろ、自分自身を見失うまいとして、こころの奥底から送ってくれている、切実で、最後の灯火のようなサインなのではないでしょうか?

小さな表現のワーク

こころの声を、そっとそっと大切に紡いでいく営みのために ……

ここで、そんな小さな声に寄り添うワークを試してみるのは、いかがでしょうか?

どれも、うまくやろうとするよりも、ただ、心の奥にあるものを、そっと慈しむように ──

1.感じたままを書き留めてみる

「疲れた」

「言いたいのに言えない」

「寂しい」──

どんな短い言葉でも、誰に見せるでもなく書き出す営みは、胸の奥にふっと空気が通るような隙間を生んでくれます。

2.色や形で描いてみる

赤や青、丸や線… そこに正解はいません。

ただ胸のざわめきを色にのせるだけで、言葉にならなかった心の輪郭が、少しずつ見えてくる場合があります。

3.小さな声をつぶやく

「ここにいるよ」

「大丈夫、ゆっくりでいい」

ほんの一言でも、自分自身に向けて声をかけると、張り詰めていた心が、少しだけ安らぐのを感じられるかもしれません。

4.身体の感覚にふれてみる

そっと、胸に手をあててみる ──

手のひらの温かさや、呼吸の微かな動きを感じながら、ただ、そこにいる。

言葉にならない想いを、手のひらの温もりでそっと包み込むように ──

その身体的なつながりが、心を深く安堵させてくれる場合があります。

5.深く、息を吐いてみる

ゆっくりと、息を吐いてみる。

吸う息よりも、吐く息を少しだけ長く ──

からだの緊張が、その息と伴に、ふぅっと外へ溶け出していくように ──

心のなかに、ほんの少しの静けさと、余白が戻ってくるのを感じてみます。

沈黙と 身体感覚に 寄り添う

けれど、どうしても声にならない場合があります。

胸の奥が硬く閉されて、言葉が一滴も出てこないとき……

まるで、心が深い井戸の底に沈んでしまったかのように、重たい沈黙だけがそこに横たわる…

その沈黙は、痛みでもあり、同時にひとつの扉でもあるのかもしれません。

呼吸が浅くなり、喉が詰まる感覚…

肩が硬く張り詰め、視線が定まらない…

そんな身体の重みを、あえて「ないもの」にしようとせず、そのまま認めてみます。

鼻からゆっくりと息を吸い、口から長く吐き出す ──

吸うときに、胸の奥に残る痛切さを迎え入れ…

吐くときに、ほんの少しだけ手放していく…

足の裏を床に感じる。

布団に身を沈める。

冷たい風に頬を撫でられる。

身体に触れるひとつひとつの感覚は、「今、ここに生きている」という重みの証。

沈黙の中で、心は静かに揺れます……

重たく沈むときもある……

それでも、身体を通して確かに感じられるものがある。

その営み自体が、心をもう一度つなぎ直す、小さな道しるべになるのだと思います。


次回は、こうした静かな時間の中で、少しずつ自分自身と調和していく感覚について、ご一緒できたらと思います。

それでは、またお便りしますね。

今日も、こころにそっと、あたたかな灯がともりますように ──



もし、よろしければ…
今回の記事を読んで、心に生まれたものを、お手すきの際に教えていただけませんか?

一度ゆっくりと深呼吸をしてから…
ご自身のペースで、心に浮かんだ感じを、少しずつでもお聴かせいただけたら嬉しいです。

いただいたお声は、毎回、隅々まで目を通して、これからの発信や対話を、より深く豊かにしていくための大切な糧として活用させていただきます。

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