「もう何も言いたくない」と感じてしまう日も…

言葉が喉の奥で引っかかり、何度も繰り返すうちに、ただただ「もう何も言いたくない」と、心の奥で呟いてしまう瞬間が訪れることがある。

胸の中に渦巻く言葉たちが、一つまた一つと氷のように冷たく固まり、その重さに押し潰されそうになって、息が詰まる。

外の世界は色彩を失い、まるで灰色の霧が街を覆うように、視界も気持ちもぼやけていく。

声を出せば、痛みがはじける気がして、自分を守るために言葉を飲み込み、静かに身を縮めてしまう。

それは決して弱さではなく、むしろ内側で深く揺れ動く魂の叫びであり、叫びすらも受け止めきれないほどの激しい痛みを抱えている証拠なのかもしれない。

胸の奥で響くその静かな叫びは、凍てつく夜の闇の中でひとすじの光を探し求めるように、触れたら壊れてしまいそうな繊細な祈りのように、今は静かに凍りついているのだ。

言葉にできないものを抱えながら、無理に声を紡ぐことは、切り裂かれるような痛みを伴うから、心はそれを拒む。

だからこそ、「もう何も言いたくない」という想いの裏側には、誰かにその痛みを見透かしてほしい、でも見られるのが怖い、という矛盾した感情がひそんでいる。

何かを伝えようとするたびに、過去の裏切りや拒絶がよみがえり、恐怖が心の扉を固く閉ざしてしまう。

そうしている間に、心は静かな断絶の中で孤立してしまうけれど、その孤独さえも、確かに存在している自分の証。

いつか言葉が溢れ出し、また温かく風が吹く日が来ることを期待するのは、無理な願いではない。

その日が来るまで、言葉が消えたままの夜も、痛みで身をよじる瞬間も、その深い静けさに身を委ねる時間があっていい。

遠くで誰かが見守る灯りが、ほんの少し揺らめいているかもしれないことを、どうか忘れずにいられたらと思う。

言葉を失い、声を閉ざすその瞬間こそが、心の深い場所で、まだ終わらない戦いを続けている証しであることを……。

そして、その傷ついた静けさの中にいるその存在が、いつか静かに微笑む朝を迎えるための一歩となるように……。