執筆: 傾聴メンバー・松本みさき
良子さんは、35歳の専業主婦です。
3歳年上のご主人と8歳の息子さんがおられて、住宅街にあるキレイな一軒家で暮らしています。
室内は陽当たりがよく、庭ではカラフルな花や自家製のハーブが丁寧に育てられていて、とても素敵です。
まるで、良子さんのお人柄、穏やかで几帳面な性格を感じられるかのようです。
たまに遊びに寄らせてもらっていた友人の私から見ると、仲の良い、幸せそうな家族の典型に見えていました。
◆ 抱えていた生き辛さ
実は、良子さんは長い間、生き辛さを抱えていたそうです。
良子さんは、ずっと感じて考えていました。
◆ そんなある日・・・
良子さんが買い物帰りに、ふらりと立ち寄った本屋さんでのことです。
“ モラルハラスメント “の本に、どうにも目が止まりました。
「モラルハラスメント」という言葉は知ってはいましたが、詳しいことはわからないし、自分には関係がないことだと思っていました。
でも、何故か、その本だけは気にかかってしまい、購入して帰路についたそうです。
家事や育児の合間をぬって少しずつ読んでいくと、だんだんと惹き込まれるような感覚で、気がついたら、すぐに一気に読んでしまっていました。
そこには、まるで、自分のことが書かれているかのようで、大変な衝撃を受けたのです。
読んでいて、とてもパワーを使ったような気もしますが、なんだかエネルギーも得られたような感覚にもなったと言います。
この時、良子さんは自分がモラハラの被害者だということに、初めて気が付いたのです。
良子さんの生き辛さの要因の多くは、ご主人のモラハラからだったのです。
思い返すと、良子さんのご主人は付き合い始めた頃から、価値観の押し付けが強く、支配的な発言が続いていた人でした。
俺に尽くさなければ ”ならない”
出しゃばらず 俺に従順ででなければ ”ならない”
そのようなご主人の言動に、良子さんも最初は違和感を感じたものの、いつしか麻痺してしまっていました。
あれこれ言われるかもしれない
・・・などのことを思うと
内心で、そう思ってしまい、口をつぐんでしまうようになっていました。
そのうち、心のなかで思うことも、モヤがかかったように見えにくくなり・・・。
そうして良子さんは・・・
私が 悪い
私が 変わらなければ・・・
ずっと自分を責め続けることが、心のクセのようになってしまいました。
そのような中、ある日、ふと、良子さんの目を止めた本に出逢ったことが、1つのキッカケとなって、少し開けていったのでしょうか。
『私は 私のままで 大丈夫なんだ』と思えるようになり
気が楽になった
と、良子さんは話していました。
◆ 一歩・・・
全く気が付かずに、どこかでモンモンとしているだけでは気持ちが良くないばかりか、まったく出口の見えない長いトンネルにいるかのような、そんな感覚になるかもしれません。
気が付けたことから、その発見から、初めて、解決への糸口を考え出す意識が芽生えだします。
気が付けずに溜め込む一方となっていきますと、もしも、自分でも予期しない爆発となってしまったり?したら、取り返しのつかない事態を招いてしまったかも・・・?しれません。
山ほどあるけれど
生き辛さからは だいぶ解放された
このように話していました。
課題は様々あるとしましても、ただ溜め込む一方の毎日ではなくなっただけで、かなり違います。
気がつけたことから、少しずつ観えてくるもの・・・。
少しでも観えるということは、それだけ、心のゆとりを生み出し始めます。
時には冷静に、一人の人間として、ご主人を観ることができていくかもしれません。
良い悪いだけで責めるのではなく、どうしていけば?という視点で考えられる、キッカケがつかめたことは、光への一歩のように思えます。
モラハラは、” 奥の奥に、隠れた不満 “ から生じることが、よくあります。
言っている本人も、気が付けていない場合が少なくありません。
言動は、” 隠れた不満 ” からの症状のようなものとでも言えるでしょうか。
目先の言葉(症状)よりも、そっと、お互いに心の声をまっすぐに見つめて受け止めてもらえるだけで、少しずつ自浄されていくかのように・・・。
気がついたら、消えてしまっていたというケースもあります。
そのプロセスは、一朝一夕ではないかもしれません。
外部から、その変化の結果だけを観ていると、ガラッと変わったかのように見えるかもしれません。
ですが、暖かく温和な姿の笑顔は、すぐそこにある隣り合わせのものだったりします。
そのためには、まず、心のゆとりを得ることが先です。
◆ 実感として気が付けたことは、とても意味があります。
良子さんは、言いました。
考えたりしていたけど
ずいぶんと 遠回りばかりしていたように思える
その前に 誰かに話をしていたら
もっと早くに 夫のモラハラに気づくことができたかもしれない
どこかで 夫の言動はおかしいと思っていて
周りの人に そう思われたくなくて・・・
話せなかったのかもしれない
良子さんのお話をお聴きしていて、どう思われるかが心配で、身近な人にこそ話しにくくなることもあるんだな・・・と、しみじみ感じました。
そんな時、身近な人には話しにくいことも、気持ちに寄り添って話を聴いてもらえる場所が「ほんわか倶楽部」です。
あなたの心のゆとりを・・・ 微力ながらでも、少しでも、お手伝いをさせていただければ、と願っております。
※ 本記事の内容は、特定の個人やクライアント様の事例ではありません。 記載名称は、全て架空のものです。 ここでは、良子さん(仮名)についてのお話としております。 |
● 松本みさき ●
【自己紹介ページはコチラ】をご覧ください。 心を込めて傾聴させていただきます。
最新記事 by ● 松本みさき ● (全て見る)
- もしかして、モラハラ・・・? - 2018年4月3日